2024.11.26
プロジェクトマネージャのための原価計算
プロジェクトマネージャーのための原価計算というお題で工業簿記・原価計算のブログを更新していきます。
プロジェクトマネージャにとってQCDを考えることはとても大切です。コストを考えるための原価計算的思考をぜひこの機会に身につけてください。

プロジェクトマネージャのための原価計算1
焼き鳥を作るプロジェクトを前提に原価計算について説明をしていきます.
■オーダーメイドで2つの別々の製品を作っていく場合(別々の製品の製品原価を個別に計算するので、個別原価計算と言いますね)の製品原価の計算について見ていきたいと思います。
さて、焼鳥屋では今2つの焼鳥(製品)を作るプロジェクトとしましょう。
一つは、皮。もう一つは名古屋コーチンの高級地鶏(もも肉)で作った焼鳥です。ですから、作った製品は2本。(少ないですが許してください)その時かかった原価(製品製造のためにかかった費用)はというと、皮用の肉 50円/1本 、 名古屋コーチンの高級地鶏(もも肉) 350円/1本皮用の串 10円/1本 、 名古屋コーチン用の高級串 70円/1本タレ(両方 共通)Total 40円人件費、光熱費等の費用は説明の便宜上省略させていただき、2本にかかったTotalの原価合計は、50+350+10+70+40=520円です。
では、このときの各製品の製品原価はいくらでしょうか。一番簡単な方法は割り勘:520円÷2本=260円ですね。皮の製品原価は260円/本、名古屋コーチンの製品原価も260円/本。これが各製品の正しい製品原価の金額といえるでしょうか。言えないですよね。地鶏の鳥肉だけで350円かかっていることからも明らかです。割り勘だとどうしても、正しい原価の金額が求まらない。製品原価に利益をつけて売価を決めるのであれば、売価も間違ってしまうことになります。
そこで正しく原価を計算するためにどうすればよいのか、原価を費目ごとに分ける「分類」というものをして、グループごとの特徴を使い計算をしていくということになるのです。
プロジェクトマネージャがコストを考えるための原価計算的思考2
▼1▲ 個別原価計算~その2~
さて、前回に引き続き、個別原価計算についてのお話をしていきたいと思います。
早速ですが、前回の例題を使って見ていきましょう。
さて、焼鳥屋では今2つの焼鳥(製品)を作っています。
一つは、皮。もう一つは名古屋コーチンの高級地鶏(もも肉)で作った焼鳥です。
その時かかった原価(製品製造のためにかかった費用)はというと、
皮用の肉 50円/1本 、 名古屋コーチンの高級地鶏(もも肉) 350円/1本
皮用の串 10円/1本 、 名古屋コーチン用の高級串 70円/1本
タレ(両方 共通)Total 40円
2本にかかったTotalの原価合計は、50+350+10+70+40=520円です。
前回、この520円を2で割っても、それぞれの焼鳥の製品原価は正しくあらわされないため、分類というものをしてグループごとに分ける必要があるというところまでお話したと思います。
では、どのようにグループごとにわけていけばよいのでしょうか。
一言で言えば「どの製品に使ったかが明確にわかるものと、どの製品に使ったかが明確にわからないもの(共通して使ったもの)に分ける」ということになります。
つまり、上記の例で言えば、皮の焼鳥、高級地鶏の焼鳥に使ったとわかる費用と、わからない費用とに分けるということをします。肉と串については、価格の違う別々のものを使っていますから、それぞれ、皮の焼鳥にかかった費用、高級地鶏の焼鳥にかかった費用としてどの焼鳥にいくらかかったかが計算できるでしょう。これに対して、タレは共通してかかってますから、どの焼鳥にいくらかかったかは明確に計算できません。
そこで、タレに関しては、会社の資料から、もっとも合理的な配分基準を選び、
各製品に分けるということをします。今回は一番単純な、2本で40円なら、1本20円でという割り勘による計算で配分したいと思います。
その結果
皮を作るのにかかった原価 50円+10円+20円=80円
高級地鶏を作るのにかかった原価 350円+70円+20円=420円
と計算した方が正しい製品原価の金額を導き出すことができるのではないでしょうか。
個別原価計算の流れとしては、
1.どの製品に使ったかが明確にわかるものと、どの製品に使ったかが明確にわからないもの(共通して使ったもの)に分けて、どの製品に使ったかわかるものは、その個別製品ごとに集計してあげよう。
2.どの製品に使ったかわからないものは、明確な配分基準を使って各製品に配分しよう。
この二つの手続きが大まかな、個別原価計算の流れとなります。
プロジェクトマネージャがコストを考えるための原価計算的思考3
▼1▲ 個別原価計算~その3~
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■ 今回で個別原価計算(原価を計算する)というお話は終わりにしたいと思います。
前回までのまとめをしながら、原価計算の言葉であてはめて説明をしていきます。
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これは、前回の復習になりますが、焼鳥の例を通しての個別原価計算の流れを簡単にまとめれば、
1.どの製品に使ったかが明確にわかるものと、どの製品に使ったかが明確にわからないもの(共通して使ったもの)に分けて、どの製品に使ったかわかるものは、その個別製品ごとに集計してあげよう。
2.どの製品に使ったかわからないものは、明確な配分基準を使って各製品に配分しよう。
ということになります。
原価計算では、上記の流れを専門用語を使ってあらわしていくのが一般的です。
今回まとめということで4つの言葉をおさえましょう。「製造直接費」「製造間接費」「賦課」「配賦」です。
製造原価のうち、
どの製品に使ったものかが明確にわかるもの…製造直接費
どの製品に使ったかが明確にわからないもの(共通して使ったもの)…製造間接費
前回の例題で言えば、鶏肉や串は製造直接費といわれ、タレは製造間接費と言われます。製造直接費は使った製品ごとに原価をダイレクトに計上してあげる、製造直接費 は共通してかかっていますから、適切な配分基準を使い各製品にわける必要があります。
この分類をすることにより製品原価が正しく計算されるというのは前回にお話し
たとおりです。この分類を一般的に製品との関連による分類といいます。
そして、このダイレクトに製品原価に集計する計算方法と、共通にかかっているため適切な配分基準をつかって各製品に配分する計算方法にも名前がついています。
ダイレクトに製品原価に集計する計算方法…賦課
適切な配分基準をつかって各製品に配分する計算方法…配賦
〔まとめ〕
個別原価計算の原価計算の手続きを原価計算の専門用語を用いてあらわしましょう
1. 製造原価を製造直接費と製造間接費に分類する。
2. 製造直接費は各製品に賦課する。
3. 製造間接費は適切な配賦基準を用いて各製品に配賦する。
この文章を第1回からお話している焼鳥の計算の流れをあてはめてイメージできますか?
イメージできたら、皆さんは上記の専門用語を使いこなせていることを意味します。
原価計算の専門書は、最初に専門用語からスタートする傾向にあるため、最初に上記のまとめの1. 2. 3. が書いてあるとさすがに面食らってしまうのです。
原価計算を理解するためにはやはりイメージが重要だと思います。難しい専門用語を自分の中にある出来事にあてはめイメージできるようにする。
今後もイメージを付けることができればと思い、これからも具体例を交えてお話してきます。
次回も個別原価計算の続きと言えば続きなのですが、少し違う側面から見てみましょう。
財務諸表の作成です。その場合に出てくるのが、皆さんもご存知の形態別分類と言われるものですね。また、次回お会いしましょう。